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2007.02.10 Saturday 00:51
『雷電本紀』 飯嶋 和一
そして眉は八の字に垂れ下がり、どこか困ったような表情を常に浮かべていた。 太郎吉(のちの雷電)は子どもの時分から体も大きく、ほかの子らより抜きん出ていた。しかしその巨体に見合わず、動きは機敏だった。 小諸藩の村で育ってきた太郎吉は、最強といわれる江戸相撲を相手に五人掛りに勝ってしまったことから、見も知らぬ人らがただ太郎吉を見るためだけに村にやってくるようになった。 そしてある日、林右衛門という江戸相撲の年寄から相撲取りにならぬかと言われる。太郎吉は一人息子だったため、林右衛門も働き手の一人息子を相撲取りになど出さぬだろうと始めから諦めていたのだけど、父親の半右衛門の返事は「是非に」。 そこに秘められた理由。そしてそれを理解し、父の思いを汲み取り、相撲取りの道を選んだ太郎吉・・・。 江戸時代に生きた伝説の最強力士、雷電の生涯を描いた本。 ハワイに持ってってたんだけど、全っ然読めなかった(^_^;)空港での乗り継ぎ時間も長いし、飛行機の中でも数時間あるんだからかるーく読めるかなって思ってたんだけど、旅行中ってやっぱり本は読めないもんですね…。 それはさておき、として。 面白かったです。 雷電の一生だけでなく、彼の人生に絡んできた重要な人物や相撲人仲間などの人生も描かれているんですけど、特筆すべきは土俵上の描写。 土俵に上がりどういう技を仕掛けたか、どのように動いたか…臨場感たっぷりにとにかく細かく書かれてます。 技の名前を書かれても実はよくわかんないんだけど…それでも楽しめました。 二十一年という長い月日の中で、二百五十四勝十敗二引き分け十四預り、五無勝負という前代未聞の戦績を残した雷電。 雷電の強さは、民衆からすると疫病や鬼、そして自然災害をも退けてくれる強さでもあったのです。赤子の無病息災を願い、雷電に抱いてもらい厄払いを願う親や、山の爆発も雷電が勝てばおさまるに違いないと願う人々…。 そんな人々の願いを背負って、雷電は土俵に立っていました。 淡々としていて、とにかく客観的に書かれているし説明は細かいので、苦手だと感じたり物語の中に入り込めない人もいるかもしれません。 相撲にかんする描写もすごく多いので、相撲の事なんてどうでもいいよーって人にも、つまんないかも(^_^;) でも当時の人々の生活や一揆などにかかわってきた人たちの描写も真に迫っているので、歴史小説好きなら楽しめるんじゃないかな?とも思ったり…。 読み終わった後、静かに、、ほんとひっそりと涙が流れちゃうような…そんなお話でした。 2006.07.13 Thursday 00:41
『始祖鳥記』 飯嶋 和一
始祖鳥記 飯嶋 和一 人類初の飛行機による有人動力飛行に成功したのが、1903年の12月17日。ご存知、ライト兄弟によってでした。 ライト兄弟が飛行機の研究を始めるきっかけになったのが、ドイツの航空研究家でグライダーを開発したオットー・リリエンタール。彼はハンググライダーを作り、小高い丘から飛び立つ実験を繰り返したことで知られています。 けれどそれより100年以上前の江戸後期に、世界で最初に空を飛んだと伝えられる一人の男がいました。 備前屋幸吉。 鳥のように空を飛びたかった。凧のように、空を飛びたかった。 ただ風をつかみ、空を飛びたかった幸吉。 これは幸吉の幼少の頃から老境に至るまでを書いたお話です。 もうね、何をかいてもネタバレになりそうなのでこれ以上書けない。 とにかく、のめりこみました。 この本に出会ったのは学生時代。香川のとある本屋でした。 題名と表紙に惹かれ「今度買おう!」と思っていたんだけど、次に行った時にはもうなくなっていた・・・という出会いでした。その後この本の事も忘れていたんですけど、先日本屋さんをふらふらしてたら、ふとこの題名が目に飛び込んできました。 買う運命だったんだよ!と思いたい。 文庫もあったけど、ハードカバーの方が見た目がよかったので迷わずハードカバーを購入(笑) 『ダ・ヴィンチ・コード』も一気に読ませられる本だけど、あれはとにかくスピード感があるんですよね。流れるように読んでしまう。 この本は、幸吉の幼少期から老境までを書いているから、スピード感があるわけではないです。じっくりと緻密に書かれた時代描写、細かい人物描写。 パラっと本をめくった時、どのページもぎっしりと字が詰まってて驚きました。 読むのに時間かかりそうだなぁ。もしかして難しい話?入り込めるかな。 そんなことを考えてたのに、いざ読み始めてみると、とにかく先が気になって気になって・・・。 胸がドキドキしっぱなしでした。 いまもドキドキしてます。仕事中も続きが気になって頭の中はそればっかり。 久々に熱くなりました。 |
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