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2007.03.24 Saturday 02:10
『牡丹酒−深川黄表紙掛取り帖【二】−』
江戸の町で定斎売りをしている蔵秀は、裏家業として厄介事請け負いをしている。 その裏家業仲間が、絵師の雅乃、絵草子作家を目指している辰次郎、飾り行灯師の宗佑。 今回の仕事は、土佐の酒を江戸で広めたいというもの。 いかにして土佐から江戸までの道筋をつくるか、そして売ってくれる店はあるのか…。 思案しながら、蔵秀たち四人は土佐へ向かった・・・ うーん…シリーズ2作目は…なんというか…まあ楽しい。楽しく読める。 でも、楽しいんだけど…キレがないような感じがしました。 前作『深川黄表紙掛取り帖』では痛快なテンポでキレもよく、江戸の活気も感じられてとても楽しかった。 ところが今回は、困難を乗り越えて土佐の司牡丹という酒を江戸に広める…はずなんだけど、困難らしい困難は土佐までの道中だけ?けれどその道中も高級な旅籠にとまったり、良い船に乗ったり…。 全体を通して、まったり、って感じ。 ちょっと拍子抜けでした。 というのも前作で権力のある人に強力なコネが出来てしまった蔵秀たち。 権力の前に物事はひれ伏しちゃうのです…。 道中に泊まる宿にしても、商人達とのやり取りにしても、蔵秀の後ろに控えてる人たちの力が大きいから、なんともあっけなく商談成立 でもそういうのを除けば、旅先で出会った人達とのやり取りは地域地域の特性とか感じられて楽しいし、道中に出会ったうまい食べ物屋とか、そしてなにより主題の司牡丹が、とても美味しそうで美味しそうで…。 あまりにも美味しそうなので、土佐に行きたくなりました! 行って、司牡丹を飲みたい!鰹の塩辛も食べたい〜!! この本に登場する司牡丹は本当にあるお酒だそうです。 ↓こちら 司牡丹酒造(株) しかもここの社長さんがブログを書いてらして、これが土佐弁でなかなか面白い。しかも美味しそうな写真が沢山…。 老舗日本酒蔵元「司牡丹」社長が語る裏バナシblog 「口は幸せのもと!」 お腹すきます。 そして、ぜひとも司牡丹を飲んでみたい。って気にさせられる。 いやもうたまりまへんな・・・・。 ぜったい土佐に行く。土佐で飲んでみたい。 2007.02.26 Monday 01:11
『深川黄表紙掛取り帖』 山本 一力
定斎売りをしている蔵秀の元には度々、厄介な頼み事が持ち込まれる。 いつもなら五十俵の大豆の仕入れを、仕入れ状の書き違えにより五百俵も仕入れてしまい、その持って行き先に困っているという雑穀問屋、丹後屋。 これを何とかして捌くことは出来ないだろうか、というのが今回の頼み事だった。 蔵秀が相談したのは、このような厄介事を請け負った時に一緒に行動する仲間達。 絵師をしている雅乃。 絵本草子本作家になりたい辰次郎。 飾り行灯職人の宗佑。 四人で知恵を出し合い、見事大豆を捌ききったのだが…捌いた後で大豆に問題があったことが発覚する…(端午のとうふ) などなど、いろいろな厄介事が5編。 短編集なんだけど、長編のようにも感じられる連作短編集。 最初の「端午のとうふ」ではいまひとつ盛り上がりも無く、うーん・・・どうなんだろ…なんて思ってたんだけど、2編目の「水晴れの渡し」で雅乃が見合いをしたことから物語が走り出し、一気に面白くなりました。 「端午のとうふ」は、大豆を捌くにしても、ちょっと普通の人の考え付かないようなことを考え付く、彼ら四人組の企みを少しばかり披露してついでに人物紹介的なことも〜なんてことを兼ねてた話…でもあったのかな。だから痛快ではあるんだけど、気分がいまひとつ盛り上がれなかったのかも。 けど「水晴れの渡し」以降は悪に対してどう相手を出し抜いていくか知恵を出し合い、ぎゃふんといわせてやる!という軽快なテンポで進む、痛快物語になります。 悪人はとことん悪人で、善人は最後まで善人。舞台や設定もありきたりと言えばありきたり。 脇役も個性があり、粋だねぇ〜!なんて思わせる印象的な人たちばかりなので、ちょっと四人の存在感が薄く感じられてしまう。 だけど、楽しかったです。 神輿を担いで揉んだりする場面とか、紀伊国屋文左衛門宅でのご飯とか…描写が丁寧なのでその光景が目の前に浮かんでくる。 神輿を担ぐ時に緋縮緬でふんどしをこしらえたり、一千両をかけて明日の天気を勝負してみたり…豪気で粋な深川の人たち。 一緒になってドキドキさせてもらいました☆ 読んでて関係ないところで気になったんだけど…雅乃が五尺六寸。蔵秀が五尺四寸。 …これって、雅乃のほうが大きいってこと…なのかな…? さて、2作目がでてるのでこれも買ってこなきゃな!! |
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