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2007.04.07 Saturday 01:59
『ゆらぎの森のシエラ』 菅 浩江
ゆらぎの森のシエラ
livedoor BOOKS 書評/SF&ファンタジー これは1989年に発表された、菅浩江さんの最初の長編小説。 菅浩江さんと言うと有名なのが『永遠の森 博物館惑星』かな?と思うんですが、私はそれと同じくらい『メルサスの少年』も好き。 『ゆらぎの森のシエラ』はどちらかというと『メルサスの少年』寄りの作品です。 一見してファンタジーかなと思わせておいて、その根底にSF風味が潜んでいる。そういうところが似ているな、と思いました。 創造主パナードの手によって人間から化け物へと作りかえられてしまった金目は、主の命に従い、人を殺すためにパルの村へ出向いた。 狩りを楽しむためだけに人を殺す。 少女の声を聴くまで、金目はそんな自分を疑問に思いはしなかった。 しかしパルの村で金目の心に突如響いた少女の声。 少女の声により人間の心を取り戻した金目は、彼を騎士と呼び慕う少女シエラと出会う。 そして自分を化け物に作り変えたパナードに復讐する為、戦いを挑み・・・ あらすじを読んだ時は、純粋なファンタジーだと思ってました(^_^;) パナードの手により作り変えられてしまった金目。 モノとモノが融合し、新たなモノに変化する。 自然の営みを崩し、人の手により無理やり体系がゆがめられたらいったいどうなるのか・・・。 どこかにゆがみは生じたりしないのだろうか。 どこかで新しい発見が起こり、日々進化し続ける私たちの社会。 それは本当に進化?私たちは、正しい道を歩んでいるのでしょうか。間違いは犯していないのでしょうか。 ふと、足元を見つめなおしたくなる。 解説で山田正紀さんが書いていることですが、SFは圧倒的に男性読者が多いそうです。 私の偏見かもしれないけど、SFと聞くととっさに思い浮かぶのが、宇宙船で何億光年の宙の彼方を飛び回り、ドンパチ宇宙戦争をしたり・・・なんてイメージ。 沖田艦長とかデスラー総統とかイスカンダルとか、ついでに言うなら ♪さらば〜地球よ〜♪とか歌いたくなる。(ってこれはヤマト) SF小説好きの私でさえそうなんだから、きっと似たようなイメージを持ってる人も多いと思います。 そんな人たちオススメなのが、菅浩江さんの小説。 菅浩江さんのSF作品は、とてもとっつきやすい。 やさしくて柔らかい、そして暖かい世界が多いので、SFはちょっと苦手だな読んだことないな、と言う人でも読みやすい。 なので安心してSFにも手を伸ばしてみてください☆ あ、でも本書はグロテスクな描写も多々出てくるので、苦手は方はご注意下さい! 2007.03.25 Sunday 01:15
『五人姉妹』 菅 浩江
さて、そんなSFと呼ばれるジャンルの中で私が一番好きな作家さんが、菅浩江さん。 (『永遠の森−博物館惑星』はほんと傑作です) 久々に読んだ菅広江さんの作品『五人姉妹』には、なんと『永遠の森−博物館惑星』の後日譚が収録されています。 わたし、この本を手に取るまで『永遠の森ー博物館惑星』の後日譚が存在するなんてしらなかった…!! さて、『五人姉妹』の内容ですが、切なさ、寂しさ、そして心の奥底から灯るような暖かさに満ちた短編集となっています。 バイオ企業を率いる父親によって、成長型の人工臓器を体内に埋め込まれた葉那子。そして葉那子の人工臓器に何かしらの不備が生じた場合の備えて、4対のクローンが作られた。 しかし葉那子の人工臓器は葉那子とともに無事に成長を果たした。やがて父は亡くなり、家の遺産の事もあり葉那子はクローンの姉妹と対面し、今後の方針を話し合うことに決めた…(五人姉妹) など9編。 『博物館惑星』の後日譚である「お代は見てのお帰り」はもちろん素敵だったし、「ホールド・ミー・タイト」や「秋祭り」や「賤の小田巻」も良かった…! 収録されている作品の中で一番幸せで楽しくて暖かいお話は「ホールド・ミー・タイト」かな…。読んでる私まで、嬉しくなってしまいました。 これまで恋愛ものってちょっと苦手…なんて思ってたんだけど、もしかしたら本当は好きなのかな?と思ってしまったほど…。 短い中にぎゅっと詰め込まれた作品ばかり。 素敵な作品集です♪ 久々に『博物館惑星』を読み返そうかな〜 読み返したらきっと、小川一水さんの作品も読み返したくなるんだろうな〜・・・ |
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