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2008.10.07 Tuesday 00:44
『晴れた日は、お隣さんと。』 福田 栄一
「ダ・ヴィンチ」好評連載作品が文庫化! 引越し初日、新居の窓から奈美が見たのは、全裸の男!変わり者の隣人・増渕と、クセのある双子の娘たち、そして心惹かれる青年・康孝にかこまれ、騒がしくも楽しい新生活が始まる。だけど増渕には、過去に秘密があるようで・・・・・・。<Amazon 内容紹介より> 福田さんの新刊が発売されていたとは知りませんでした。 いつもの書店で探したらあったので、早速購入♪ あー、それにしても『監禁』はやっぱり取り寄せてもらわないと入荷しないのかな…。待ちはダメなのか…。 さて、今回もとても楽しく読み終わりました! 引越し早々アパートの窓から裸で外をうろつく男を見つけてしまい、交番に相談に行く菜美。ところがその全裸の男・増渕は元大学教師で、いまは子ども相手に塾を営んでいるなんともおっとりとした男性だった。増渕との衝撃的な出会い、そして増渕の塾で知り合った康孝。 職場では先住学芸員の佐枝子から冷たい態度をされ凹みつつ、なぜか力仕事、草抜きなどの雑用ばかりをする羽目に。 めげることなく仕事を続けているうちに、増渕の娘たちと知り合ったり、増渕たちみんなと日帰り旅行に出かけたり、資料館のマスターキーをなくしてしまったり…なんてことない日常が過ぎていく。 マスターキーをなくした時は読んでる私もハラハラしたんだけど…そのときに菜美の手助けをしてくれた増渕先生と康孝の行動に「うわー、いいなぁ!」とときめいてしまった。康孝君、いい!菜美がうらやましい。 小さな事件ややっかみなんかはあるけど、先生がおっとりしているし、菜美もせかせかした性格ではないので、全体的にのんびりと穏やかな空気の流れるお話。 最後まで安心して楽しく読めました♪ 次回作が楽しみです。 2008.04.19 Saturday 00:25
『エンド・クレジットに最適な夏』 福田 栄一
着々と福田栄一さんの既読本が増えていく。それは嬉しいけど、残すところ『監禁』のみとなるとやっぱり寂しい。もっと読みたいんだけどなぁ…。 福田さんの作品は、これをいれてまだ5作しか読んでないけど、安心して楽しめる作品ばかり。 この『エンドクレジットに最適な夏』は、先日読んだ『A HAPPY LUCKY MAN』と作りが似ていたけど、主要人物の性格がコロリと違っていたので、あまりかぶることなく、楽しく読めました。 今回はこれまでにない、肝の据わった元不良が主人公。これまでは、どちらかというとヘタレが多かったように思うので驚きました(笑) 貧乏学生の晴也は友人から、知り合いの女の子が不審者に付きまとわれて困っているのでどうにかして欲しいと頼まれる。ところが不審者を探している途中、女の子のお隣に住んでいる妹と連絡が取れなくなり心配して通いつめていた男性から相談を受け、妹をさがす事を引き受けてしまう。 ところがお隣さんはなにやらヤバげなことにかかわっていそうで…。 そんなことをしていると、今度は不倫相手から脅迫を受けている男性の悩みを聞いてしまい、協力する羽目になり… 今回もあれよあれよとトラブルが増えていくのには笑ってしまった。 けど、なにやら怪しげな匂いもするし、ちょっとシリアスな展開もあり…引き込まれるように読んでしまいました。 1つのトラブルから別のトラブルへと連鎖し、そこからまた別のトラブルへと連鎖…。 いったいどんな解決が待っているのかと想いながら読み進めると、それまであまりぱっとしなかった人物にスポットがあたり、ここで彼が役に立つのかー!この人ってばなんでこんないい具合に登場してくれるんだろう、とこれまた連鎖的に解決。 読んでいてとても気持ちよかったです。 仕方がないこととはいえ、晴也の大学生活がほとんど見れなかったのがちょっと残念。 ぜひ続編も読んでみたいな。 続編では、学内でのトラブルシューターとかして欲しいなぁ。 JUGEMテーマ:読書 2008.03.13 Thursday 00:37
『A HAPPY LUCKY MAN』 福田 栄一
日常のなんてことない風景。 福田さんの書くお話は、なんてことない日常の一場面だったり、ちょっとした一日だったり…。そんなものばかりなのに、とても心地よくて楽しい。 淡々としているのに中だるみすることもなく、飽きさせず最後まで一気に読ませてしまう。そして楽しかった〜!と思わせてしまうのが、福田さんの作品。 うーん、すごい。 大学生の柳瀬のだらけきった日常は、わかるなぁ、こんな学生時代すごしてたなぁと思わせる、リアリティのある描写。 ところがそんなだらけきった日常も突然終わりを迎えた。 国際法という講義の担当教授が病気で入院してしまい、変わりにとても厳しい助教授が担当になることになった。助教授がまず最初に出した課題はレポート。どうしても落とすことの出来ない単位のため、柳瀬は何とかレポートを仕上げようとするのだけど、寮に帰ってみると寮監さんが倒れていて、バイト先ではいきなり客足がぱったり止まってしまい、友人からは彼女と連絡が取れなくなったので様子を見てきて欲しいと頼まれ、更には寮生が酔った勢いで手を出してしまった女の子が押しかけてきて…さらにさらに… レポートに取り掛かろうとすると、何かしら問題が発生。 柳瀬以上に、読んでる私が「今からレポートするんだ!」と叫びたくなった(笑) これらの問題や悩み事を一つ一つ解決し、したとおもったら次の問題が出てくる。そんなエンドレスな柳瀬の1週間。 どこまで積み重なるんだ、と人事なので無責任に面白がりながら読みました。 問題が積み重なるたびに、ずしっずしっと重かったけど、楽しかった〜♪ 要所要所に登場する的山がいいキャラでした。 というか、寮生みんな、いい味出してます。 こんな寮、訪れてみたい(笑)すごく楽しそうです☆ JUGEMテーマ:読書 2008.01.11 Friday 00:55
『あかね雲の夏』 福田 栄一
まだ2作しか読んでないけど、福田さんの作品の雰囲気がとても好きなので「お薦め作品なら絶対買わねば!」と次の日に本屋さんに走りました。 運よくこの本1冊だけがあったので購入。 働いていた会社が倒産してしまい、その後なかなか再就職に踏み切れないでいた安宅俊太。 親戚の葬儀の場で、亡くなった千代子の住んでいた赤根村のお屋敷の管理を頼まれた。 赤根村は山に囲まれた鄙びた村で、隣町までバスで40分。そのバスも日に10本だけ。 何もない赤根村での生活に始めはおっかなびっくりだったけど・・・ そんなお話。 大きな事件が起こるでもない、のんびりした日常をつづったお話です。 が!しんちゃんさんの絶賛に私も賛同。 すっごく楽しかったです。 世話好きな美津子とのやり取りや、やっと出来た気の置けない友人、恵慧との日々。そして主の帰りを待ち続ける九郎や無口な智穂との交流。 どの場面を読んでいても、とても心地良い。 穏やかな日々がゆったりとした文章でつづられているので、読んでいると自然と肩の力が抜けて私もゆったりとした気分になれたし、なにより景色の描写も奇麗。 山に囲まれた狭い土地は水田の鮮やかな緑に覆われ、その中にぽつりぽつりと民家の黒い影が浮かんでいる。・・・中略・・・じっと眺めていると、極めて精巧に作られた箱庭を見ているような気がしてきた。その一方で、空にぽっかりと浮かんだ雲が地上に巨大な影を投げ落としているのを見ると、自然の雄大な流れを感じもする。(本文109ページより) 昼間っからお酒を飲みながら、ふと周囲を見渡すと飛び込んできた美しい景色。 家の中にいても、川端にいても、美津子のお店に居るときでも、その一瞬一瞬の情景が浮かんでくる。 久々に読み終わるのがもったいない、まだまだ読んでいたいと思う作品に出会いました。 JUGEMテーマ:読書 2007.10.21 Sunday 00:52
『玉響荘のユーウツ』 福田 栄一
メイド喫茶の店長をしていた志郎は、スタッフにお金を持ち逃げされ気がつけば500万円の借金持ちになってしまった。その借金を、5日以内に返さなければ20万の不足ごとに指一本切り落とされる…。 どうしようかと落ち込んでいたところに、突如ふって湧いた土地の相続。その土地を売り払えば大金が入ってくる!しかしその土地にはボロアパート玉響荘が建っていて、住人全員に出て行ってもらわなければ土地を売却できない?! 志郎は住人たちに退去をお願いするがこれが一筋縄でいかなくて…?! 志郎は期限内にお金の用意ができるのか?! と言うお話。 玉響荘の住人たちが、まるで漫画のようにありきたりな事情を抱えた人物ばかり。 そこがまた、とっつきやすくて馴染みやすくて良かったです。 志郎は住人たちに出て行ってもらうために、恋のお手伝いをしたり、幽霊退治をしたり、復讐代行をしたり…とにかく東奔西走。 時間がないので、こっちを済ましたら空き時間にはもう1つの方に取り掛かって…とにかく大忙し。 沢山出てくる登場人物もみんな個性的で、しかも明るい! テンポよく一気読みでした。 楽しかったです♪ 2007.03.10 Saturday 00:43
『メメントモリ』 福田 栄一
そんな山県の新しい職は、かろうじて都内と言える場所に店を構える場末のスナック「メメントモリ」だった。バーテンダーとして働き出したは良いものの、メメントモリに来る客が飲むのはウィスキーやビールばかりで…辞めたい、すぐにでも辞めてしまいたい、と後悔の毎日を送っていた。ところがひょんなことから、家出娘の亜須美を山県のワンルームの部屋で預かることになり・・・ えーと、正直に言うとあんまり期待してなかった。 表紙が気になって…なんとなく買っちゃった本。 この表紙絵、どことなく沖麻実也さんの絵に似てるんですよね〜…。裏を見ると全然違うんだけど、表紙をパッと見たとき、「沖先生?!」って思っちゃった。 内容はというと、 かなり地味〜なお話です。 厭々働き始めたメメントモリの常連客から渡された食い逃げ常習犯の亜須美を預かるけど、手を出すわけでもなくたんなる同居人兼先輩もどき?として亜須美の世話を焼き、渋谷のお店の時の面倒な常連客に手を焼き、かと思えばメメントモリに厄介な客がきはじめて〜と、淡々と日常が過ぎていく。 感想とか、どんなこと書いたら良いのやら…。 そんな本なんだけど、私、けっこう好きかも。 まずなにより、登場人物に好感がもてる。 主人公の山県は優柔不断なやさしさを持ってるんだけど、作ってない、作りこまれてない優しさとか、以外にも芯が通ってるところが良かった。 亜須美も、子どもながらに必死なところとか、けっこう単純なところが。 絢子さん(メメントモリのママさん)は最後まで良くわかんない人だった…。何考えてるんだか、口に出してることが本心なんだかが謎。でもそのスタイルが徹底してるから、不思議な楽しさを醸しだす役柄になってました。 翔子さん(渋谷店の常連客)は最初は「うわー嫌な客〜」なんて思ってたけど、最後には「ちょっと良い子かも…」なんて思えてしまった…(^_^;) 事件が勃発しても、派手さはなく地味に解決…。 父親の暴力から逃げてきた亜須美を、これまたずいぶん前に逃げた母親の元に連れて行くときも、亜須美の昔の記憶を頼りに北陸まで行き、通っていた小学校までたどり着いたけど、周りの町並みが変わっていて何処が家か思い出せない。けど、偶然の出会いから母や幼馴染と再会して…あらら。あっけない。 けど、そのあっけなさが自然。 全てがするりと通り抜けてくようなお話でした。 え、これで終わり?!って感じで、なんかあやふや〜に終わっちゃったりするところもあるけど、これはこれでありかな〜。 絶賛!とはいかないけど、地味に面白かったです。 酷評する人も出てきそうな本だけど…(^_^;) |
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